ライブエンターテイメントが熱い
こんにちわ。日中エンタメプロデューサーの大里です。
私がコナミ時代に初めて中国エンタメビジネスを手掛けた2007年は、オンラインゲーム全盛の時代でした。街中にネットカフェが溢れ、オンラインゲームカードだけを取り扱う専門店をよく見かけました。毎年50%前後の成長率で、コンシュマー機器が販売されていない中国でいよいよゲームメーカーの夜明けを感じた瞬間でした。その後モバイル携帯を飛び越して、スマホが爆発的に普及し、世界一のゲーム市場になりました。
映画市場は、ゲームから遅れること約10年程度でしょうか。映画館が中国各地に急速に増えていくのにつれ、超巨大映画マーケットが形成されていきました。今やUSと並ぶ1兆円市場となり、ハイウッドも市場として重要視しています。
ゲームも映画も今なおとてつもなく巨大な市場ですが、成長市場→成熟市場に移行しています。ゲーム、映画と巨大市場を生み出してきた中国エンタメの中で、今まさに先急成長を迎える領域が「ライブエンターテイメント」です。
コンサートライブ、フェス
舞台、ミュージカル
イベント、ショー
eスポーツ
私はここ数年、何度も中国でライブエンターテイメントの現場に立ちましたが、2018年に「乃木坂46」が初めて上海メルセデス・ベンツアリーナでライブを開催した時の熱量は忘れられません。会場周辺は朝からファンの熱気に包まれており、会場周辺の商業施設の街アドはファンに買い占められて、正に街が乃木坂でした。日本のアイドルがここまで中国ファンを熱狂させているんだと、みんな本物が来るのを待っていたんだと心を震わせました。
「ライブエンターテイメント」は当然ながら常に本物です。
中国におけるこの「本物志向」こそ、「ライブエンターテイメント」を押し上げている源泉だと感じています。
中国チケットサイトの「大麦(日本におけるチケットぴあのような存在)」を開くと、開催されるライブ・興行・イベントの多さと合わせて驚くのが、その価格です。とても高い!!基本階段方式なのですが、日本では1万円前後のトップクラスのライブチケットが、中国ではアリーナで3万円以上します。1階席2階席で2万円、5階席で6000円等、平均して日本より高いです。外国人トップアーティストのライブは、年間多くて3都市ぐらいですが、中国国内トップアーティストは50か所ぐらい回りますので、ビジネスも数十倍です。
2017年に東野圭吾原作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を中国で舞台化しました。この舞台は上海初演以降、なんと中国50都市以上で150回以上公演しています。もはや劇団四季レベルのロングランです。
単価も数も大きいので、市場として大きくなるのは必至です。
そんなライブエンターテインメントもまさかのコロナで、中国も停滞しました。一方コロナ禍で「ライブエンターテイメント」はオンラインとの融合が加速し、十数億台のスマートフォンにもアプローチ可能になりました。
”コロナ後の底知れぬマーケット規模を予感させます。”
映画館が上海、北京、深セン等の一級都市だけでなく中国の隅々まで建てられ、映画が一般市民の娯楽になったように、ライブエンターテイメントも施設の普及でとてつもなく大きな市場に成長していく事が想像されます。そして今既になりつつあります。
”正に「波頭 ※詳しくは前回ブログをご参照」を感じます。”
この大きな成長の流れを、是非見逃さないで頂きたいと思います。
日本の「ライブエンターテイメントコンテンツ」は、思い切って中国市場にトライして貰いたいです。
今回のブログいかがだったでしょうか?
皆様の中国ビジネス検討お役にて立てましたら、光栄です。
感想やツッコミ、アドバイス、リクエスト何でもお待ちしております。
次回テーマは、「白蛇縁起と中国ヒットの法則」です。
あの宮崎駿監督が高校生の時、当時東映がアニメ化した同じ原作の「白蛇伝」を見て感動し、アニメ界入りをしたそうです。
次回も読んで頂けましたら幸いです。
大里
日中エンタメプロデューサー
大里 雄二Yuji Osato
1977年生まれ。東京都在住。
エンタメコンテンツの中国進出を支援する専門家。
エンタメ業界歴20年。中国エンタメ歴15年。
エンタメコンテンツの中国進出実績50件以上。
中国エンタメ市場に特化したコンテンツビジネスプロデューサー、エンタメビジネスコンサルタントとして活動中。