
白蛇縁起と中国ヒットの法則
こんにちわ。日中エンタメプロデューサーの大里です。
私がアクセスブライトに在籍していた2018年、中国アニメ映画「西遊記ヒーロー・イズ・バック(中国題:西遊記之大聖帰来)」を配給・公開しました。
この映画は2015年に中国で公開されると9.5億元(152億円※1元=16円)の興収となり、当時中国アニメ史上最大のヒットを記録しました。日本も馴染み深い「西遊記」を原作とした物語です。

中国では、この「西遊記」以外にも4大奇書や3大演義等、古くから存在して受け継がれてきた物語があります。
『西遊記』
『水滸伝』
『白蛇伝』
『金瓶梅』
『三国志演義』
『封神演義』
『隋唐演義』
等
これらの物語は、中国人なら誰もが知っている日本で言うところの「浦島太郎」です。
現在(2021年夏)公開されている『白蛇縁起』は、『白蛇伝』がベースです。
『白蛇伝』は、1958年に東映が日本初の長編フルカラーアニーメーションとして、公開した作品としても有名です。あの宮崎駿監督がこのアニメを見て、アニメ界を志したのは有名なエピソードです。
2019年に公開され、興行収入50億元(800億円※1元=16円)の中国歴代最大の劇場ヒットアニメとなった『哪吒之魔童降世』は、『封神演義』がベースです。

これらのヒット作品に共通しているのが、原作のモチーフ、背景や設定を踏襲しつつ、新しい解釈や演出を加え、最新の3Dアニメ技術で新たな映像作品を生み出している事です。
古くからある物語は、時代と共に改編されてきた事もあり、ストーリーが優れ登場人物が魅力的で、誰をも魅了する物語に仕上がっています。私が在籍していたコナミでは「幻想水滸伝」というRPGゲームを販売しておりましたが、とにかく根強い人気で、シリーズ販売終了後も続編を期待するファンの声が常にありました。
広大な中国は、言語も民族も多様で、各地域の文化もそれぞれです。
その広大な国で、老若男女多くの人に受け入れられ、誰もが背景や設定を知っている『定番物語』を題材にするというのは、2時間程度の劇場アニメではとても効果的なのかもしれません。
古来から続く『定番物語』を原作にした中国アニメ作品群に、大ヒットの法則が見えてきます。
1958年当初の東映が、何故「白蛇伝」を選んだのかは分かりませんが、中国物語に馴染み深い日本には、大きなチャンスはあると感じています。是非、 『哪吒 』800億円を超える作品を生んで貰いたいです。
今回のブログいかがだったでしょうか?
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感想やツッコミ、アドバイス、リクエスト何でもお待ちしております。
次回のブログは、一転中国エンタメビジネスの「リスク」について記載します。
次回も読んで頂けましたら幸いです。
大里

日中エンタメプロデューサー
大里 雄二Yuji Osato
1977年生まれ。東京都在住。
エンタメコンテンツの中国進出を支援する専門家。
エンタメ業界歴20年。中国エンタメ歴15年。
エンタメコンテンツの中国進出実績50件以上。
中国エンタメ市場に特化したコンテンツビジネスプロデューサー、エンタメビジネスコンサルタントとして活動中。