中国エンタメビジネスリスク①「炎上リスク」

中国エンタメビジネスリスク①「炎上リスク」

今回より、中国エンタメビジネスのリスク(難しさ)について記載します。記載している最中に、タイムリーなニュースが連発しまして、投稿が遅れました(言い訳です)。少し長くなりますので、数回に渡って投稿します。

私がこれまで中国エンタメビジネスの商談や検討をしていて圧倒的に多いのが、この「中国ビジネスリスク」への懸念です。市場は魅力的でとても興味あるんだけど、、、中国ビジネスってリスク高いよね?騙されるかもしれないよね??とにかく怖い。という心配を数多く聞いてきました。

全くもってその気持ちが分かりますし、実際にトラブルが起きた例もありますので慎重になるのは当然だと思います。ただ、リスクイメージがもくもく漠然と膨らんでしまって、必要以上に慎重になってしまうという事が多いです。
前向きなんだけど検討にめちゃくちゃ時間をかけるとか。
全てがクリアーになるまで意思決定しないとか。
そしてタイミングを失うというケースを何度も見てきました。そんなときは、やはり”勿体ないな”と、”今だったのにな”と残念に思います。

日本でも欧米でもビジネスにリスクは付き物ですが、確かに中国市場は独特でやりづらいビジネス環境であるのは間違いありません。先ずはリスクの種類や中身、影響度を予め分かっておく事が突破口です。分かっていると、判断しやすく意思決定も早くなります。今回、ビジネスリスクを大きく5つに分けました。数回に分けて、各リスクの正体を記載していきます。完全保存版です。

①誰もが直面する「炎上リスク」
②分からない事だらけ「許認可リスク」
③予測困難「政策リスク」
④騙されたくない!「パートナーリスク(未払い、商習慣、信頼関係)」
⑤日本市場とはやはり違う「マーケット差異リスク」

今の時代、最も敏感になのは「炎上リスク」ではないでしょうか。SNSが普及して以降、「許認可リスク」を抑えて心配事トップに躍り出た印象です。炎上はIP保有者を悩ませる大問題です。そして、一回の大炎上が致命傷となるのは事実です。しかし実際は、中国で大炎上した事のあるコンテンツやタレントさんの方が圧倒的に少ないです。一方でコメント欄が荒れる等の小炎上は誰もが経験をしています。「大炎上」「小炎上」と使い分けましたが、「大炎上」は言動を大多数に非難され、非難の声を集めるスレッドが立ち、収束不可能な状況です。炎上後のリカバリーも困難を極めます。最低でも公式アカウントは運営停止か自粛。ニュースになれば数年は積極的な活動や発信ができません。「小炎上」はコメント欄が荒れたり、発信をクリップして非難コメントと合わせてシェアされたりといった状況です。あまり問題のない発信が炎上する事もあるので、対応方法はケースバイケースです。SNSを運営する以上は付き合っていくものになります。とにかくこの「大炎上」に発展するような発信を避けなければいけません。

この炎上ですが、車の運転と同じで、現地の交通ルールとマナーをしっかり守って安全運転をすれば、100%とは言えませんが大事故は限りなくゼロに近づけます。中国発信でのルール・マナーは、NGトーク・NGワード・NG事項を一切言わない。触れない。取り扱わない。匂わせない。という事です。炎上後のリカバリーもかなり難しいので、初めから一切触れないというのが最も安全運転です。

自分の言いたい事を自由に発信出来るのがSNSの良さでもありますが、炎上してアカウント停止状態になっては元も子もありません。郷に入りては郷に従えと言います通り、事故に合わないためには現地のルール・マナーを守るしか方法がありません。このルール・マナーが当然日本とは異なりますので、事前にしっかり現地ルールを身につけて、定期的にアップデートする必要があります。

うっかりやってしまう炎上例ををご紹介しますと、台湾を他国と並列で記載するというパターンです。過去何度も見てます。中国企業向けのプレゼン資料でもやってはいけません。各個人が台湾をどのような位置づけで考えているかという話は、一旦全て置いておきます。必要なのは、中国は台湾を国として認めていない。それを認めた書き方(他国と並列に記載する)は拒絶される。この二つを知識として備えておく事です。

アーティストライブでMCトークをする際も、毎回事前にNGトークやNGワードをしっかりレクチャーします。その国のファンを大切にしようと思っているアーティストの方々ですので、皆さん真剣に対応します。

これからSNS等で中国市場向けに発信をしていこうという方は、このレクチャーだけは予めしっかり受けて始めて頂きたいと思います。交通ルールやマナーを覚えてから道路で運転するのと同じです。「命」とも言える「IPブランド」を守ってください。慣れるまでは、中国SNS運営の専門会社にサポートを受けながら実施するのも一つです。

今回のブログいかがだったでしょうか?
書いていて「リスク」を扱うの難しいな~と、できれば前向きな平和なテーマにしたいとな~とつくづく感じました。
ただ、中国ビジネスでは避けて通れないテーマですので、もう暫く続けます。
皆さんの中国進出のお役に立てれば幸いです。
次回は、リスク第2弾「許認可リスク」です。
この独特なシステムについて解説します。是非読んでください。

大里

日中エンタメプロデューサー

大里 雄二Yuji Osato

1977年生まれ。東京都在住。
エンタメコンテンツの中国進出を支援する専門家。
エンタメ業界歴20年。中国エンタメ歴15年。
エンタメコンテンツの中国進出実績50件以上。
中国エンタメ市場に特化したコンテンツビジネスプロデューサー、エンタメビジネスコンサルタントとして活動中。

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